南信州における東日本大震災の被災者への対応

地域分散型震災支援システムの提言

報告書

立命館大学政策科学研究科では、2006年度から開始した大学院GP「ローカル・ガバナンスの政策実践研究」を契機として、多くの自治体やNPO との間で学術交流協定を結んできました。大学院教育の一環として、院生による参与型政策研究を当該組織の中で可能にするというユニークな「地域共創サイト」を設けました。地域共創サイトの典型の一つが「南信州サイト」です。

南信州サイトは、南信州広域連合、下伊那郡町村会、長野県下伊那地方事務所の各機関をさしています。具体的には飯田・下伊那地域にある14市町村および長野県庁(下伊那地方事務所)が該当します。この地域では、東日本大震災による被災者をいち早く集団で受け入れてきました。

筆者らは、立命館大学政策科学研究科に属する研究者として、こうした地域共創サイトの抱える課題を検証し、必要な提言を行っていくことが、この震災問題における大学の社会的貢献の一つになると考えました。そして、4月17日~ 19日の3日間に現地調査を実施し、そこで得られた知見を元にして、現時点で考えられる状況整理と政策提言を提言書にまとめました。

本提言の特色は次の3点です。

  1. 被災地の復興にのみ関心が集中する中で、被災者受け入れ地域の視点から、これまでの制度や政策の課題を抽出しました。
  2. 被災者受け入れという緊急事態を素材として、自治体行動論ともいうべき組織文化のもつ重要性に光を当てました。
  3. 被災者受け入れ後の緊迫した状況において、自治体と大学との連携に基づく研究を可能にした大学院GP・学部GPの取組のもつ有効性・発展性を示しました。

被災された方々、関係自治体をはじめ、多くの方にとっての震災復興へ向けた一助となれば幸いです。

調査報告書目次

  1. 飯田・下伊那地域における被災者の受け入れ(森裕之)
  2. 飯田市における被災者の受け入れと対応(森裕之、岩本正輝)
  3. 下伊那郡町村における被災者の受け入れと対応(森裕之、岩本正輝)
  4. 居住空間からみる被災者の受け入れ状況(吉田友彦)
  5. 飯田・下伊那地域の自治体による危機対応組織(服部利幸、平岡和久)
  6. 分散型災害救助システムと財源保障(上子秋生)
  7. 地域分散型災害支援システムと地方分権改革(森裕之)